『パピヨンの贈りもの』2002年フランス映画 |
【監督】フィリップ・ミュイル 【主演】ミシェル・セロー(ジュリアン老人役) |
【あらすじ】
パリで一人暮らしのジュリアン老人は、蝶の蒐集が趣味ですが、それはずっと昔、20代の若さで死んでしまった息子との思い出があるからでした。 ジュリアンは息子が生前、見たがっていたヨーロッパで一番美しい蝶といわれているイザベルと言う名前の蝶を捕まえる事が念願でした。 ある日、ジュリアン老人のアパートの上の部屋に8歳のエルザという少女が母親と引っ越してきました。 エルザの母親は25歳の若さで仕事や友達付き合いなどで忙しく、エルザはいつもひとりぼっちでした。 知らん顔していたいと思いながらも見かねたジュリアンはエルザに声をかけてしまい、賢いエルザは淋しさから母親の気をひくために、内緒で無理やりジュリアンおじいさんの蝶を探す旅に同行してしまいます。 旅先ではエルザの質問ぜめなどで翻弄されたり、せっかく見つけたイザベルを逃がされてしまったり、しまいには、ジュリアンがなんとかエルザの母親に携帯電話で連絡しようとしても、エルザに阻止されてしまったため、誘拐犯あつかいで警察につれていかれたりするのですが・・・・。 |
【猫の登場】
ジュリアンおじいさんが黒っぽいミケ猫(真上からみるとさび猫みたいに見えました)を飼っています。 おじいさんの部屋のシーンに3回登場しますが、いつでもおなじソファーの端に坐っています。 ほとんどじっと香箱状態で、ちょっと首くらいしか動かしません。 おじいさんが育てている蝶が飛んできても反応なし。 きっと年寄り猫なんだろうと思います。 長い事、おじいさんとアパートから出ることもなく暮らしているのかもしれないと思いました。 おじいさんは蝶採集の旅に出る時、鍵を預けながら管理人さんに猫の事を頼んでいくシーンがあります。 久々家に帰ったおじいさんが、やっぱり同じソファーにいる猫の背中をなでるのですが、再会を殊更嬉しがって、起き上がったりしないところも、長く1人と1匹で気ままに(飼われているというより、同居しているといった方がぴったりします)暮らしてきた猫特有の愛想のなさという気がしてかえって、リアル感を感じました。 また、ジュリアンは最初、笑う事がなく一人暮らしの偏屈なおじいさんといったイメージなのですが、エルザに対する行動などを見ていると、本当はとても優しい人だということがわかります。 一人暮らしじゃなくて、猫と一緒に暮らしているおじいさんだもの、やっぱり優しい人なんだよなって、またまた独断と偏見でした。 |
【その他の感想】
蝶探しの旅先は景色が素晴らしく、自然の中の動物達も沢山映し出され、目も心もなごむ映画です。 おじいさんのアパートにある秘密のお部屋は一部屋が蝶のための秘密の花園状態なのですが、実際に日本の賃貸アパートでああいう部屋にしたら、クレームまちがいなしですが、あったら素敵でしょうね。 おしゃまなエルザ役の女の子(クレール・ブアニッシュ)とジュリアン老人とのやり取りがちょっと愉快です。 エンディングで、2人の質問と答えが歌になって流れるのですが、とても楽しいデュエットソングになっています。 そして、ジュリアンとエルザはきっと、本当の家族のようにその後もずっとずっと交流が続いていくんだろうなと、ほのぼのとした気分にひたれる映画でした。 |